WardPressの開発には、ローカルPCから、ローカルにあるWordPressにURLを使ってアクセスする必要があります。
またローカル環境でWebDAVを利用する場合も、URLでSynologyサーバがアクセスできなければなりません。
すなわち、自宅や職場の中では「IPアドレスでSynologyをアクセスしない」環境構築が必要だ!という事です。
下記にその方法を解説します。
1.WordPressをドメイン名でアクセスしなければならない理由
WordPressのコンテンツは下記の様にドメイン名+スラッグ名の形式でドキュメントが作成されます。
①良い形式:https://nw.myds.me/synology/setup-ddns/
しかし、IPアドレスでログインしてコンテンツを作成するとURLは下記の様になります。
②悪い形式:https://192.168.1.222/synology/setup-ddns/
①の形式の場合は、ローカル及びインターネット共にアクセスができます。
②の形式の場合は、ローカルからしかアクセスできません
よって、ローカルLAN上にあるPCからもnw.myds.me(ドメイン名)でWordPressにログインしてコンテンツを開発すると①の形式になりインターネットからもアクセス可能なコンテンツになります。
2.ローカルPCからドメイン名でアクセスする方法
これを可能にする方法には下記種類があります。
①hostsに定義する方法
PCのhostsファイルにドメイン名とIPアドレスの関係を記述します。
しかしこの方法ではインターネットからアクセスする場合は、hostsファイルを変更しなくてはならないので面倒です。
②IPv6ネットワークを構築する方法
IPv6でアクセスする方法
簡単で良いのですが、この方法はインターネットプロバイダによって異なります。
私の自宅のインターネットプロバイダ経緯
■@T-COM:OK
■IIJ光:NG
■so-net光プラス:NG
この方法は制限が多すぎます。
③DNSサーバを構築する方法
Synologyの『DNS Server』の中にドメイン名とIPアドレスの関係を定義します。
この方法がお勧めです。
3.DDNSで取得したドメイン名とは
私はSynology社から「nw.myds.me」と「nw1.myds.me」のドメインを取得しています。
更に「Dynu.com」と「mydns.jp」からその他のドメイン名を取得して使い分けています。
例えばmyds.meはSynology社が管理するドメイン名で、先頭のnwは私のサイト用に割り振ってくれた名前になります。
よって「nw.myds.me」が私のドメイン名になります。
■インターネットからDDNSでアクセスした場合は、DDNSプロバイダの「DNSサーバ」がグローバルIPに変換してくれるので、「グローバルIP」でアクセスされます。
メモ
グリーバルIPでLANにアクセスが来ると、ルータに設定したポート番号で指定のサーバに到達します。
■ローカルからDDNSでアクセスした場合は、ローカルにある「DNSサーバ」の定義に従います。
メモ
例えば「nw.myds.me」の場合、これがMasterゾーンのドメイン名となります。
この中に「nw.myds.me」のアクセスが来た時は、どのサーバに転送するか?の設定を行います。
よってルータは経由しません。
4.DNSサーバをインストールと設定
①パッケージセンタからDNS Serverをインストールして下さい。
下記アイコンが作成されます。
②上記アイコンをクリックし、開いた下記画面のメニューから作成→Masterゾーンを実行します。
③Masterゾーンの設定を行います。
下記画面のドメイン名とマスターDNSサーバの所を設定します。
尚、画面サイズを少し小さくしないとOKメニュまで表示されないので注意して下さい。
■ドメイン名:DDNSプロバイダから取得したドメイン名を入力します(例:nw.myds.me)
■マスターDNSサーバ:デフォルトゲートウェイのIPアドレスを指定します(例:192.168.1.1)
④ゾーンが作成されます。
⑤作成された上記のゾーンIDをダブルクリックして下さい。
下記のリソースレコードが表示されます。
表示されたレコードの説明は下記になります。
■nw.myds.meは、NS(Name Server)レコードでアドレスはns.nw.myds.meです。
■ns.nw.myds.meは、A(IP Address)レコードで、192.168.1.1のIPアドレスです。
⑥nw.myds.meのレコードを作ります。
メニューから作成→A Typeを選択してください。
⑦表示された画面にnw.myds.meのIPアドレスを入れます。
■名前の所は空白にします。
⑧以上でリソースレコード一覧は下記になります。
以上でドメイン名(nw.myds.me)で192.168.1.222のサーバがアクセスできる環境が出来上がりました。
同様に、他で取得したDDNSも定義します。
メモ
逆引きを設定したい場合は、マスターゾーンの作成でドメインタイプを逆引きゾーンを選択します。
ドメイン名の所にIPアドレスを入れますが、IPアドレスの順番は逆です。すなわち192.168.1.222の場合は222.1.168.192です。
またネームサーバの所に取得したドメイン名を入れます。
次にPTRレコード追加で名前は空白でホスト/ドメインの所に返したいドメイン名を入れます。
以上でIPアドレスからドメイン名を返す設定ができますが、ローカル環境のみでDNSサーバを運用する場合は逆引き設定は不要です。
4.アクセスするデバイスにDNSサーバの場所を教える方法
次にやることはローカル環境でPCやスマートデバイスから上記で設定したDNSサーバを指定する方法です。
PCやスマートデバイス個々の設定でこれを行うのも可能ですがルータ側で自動設定する方法を解説します。
私が使用しているルータは「PR-S300NE」です。
この機器でSynologyのDNSサーバを指定する方法は下記になります。
4-1.DNSサーバのアドレスを指定する。
①詳細設定→DNS設定を起動する
②LAN側のDNSサーバアドレスを指定します。
上記設定はあくまでもLAN側のSynologyのDNSサーバの場所を指定しているだけで、どのドメイン名が来た時は?の指定がありません。
③詳細設定→静的ルーティング設定を起動します。
ここにこのドメイン名が来た時はゲートウェイ(自分自身)に行け!の指定をします。
以上の設定で、ローカル環境にあるPCやスマートデバイスがデフォルトのDNSを見に行った時にルータがSynologyのDNSサーバに転送してくれる設定が完了しました。
5.参考:PC側でDNSサーバを明示的に指定する方法
どうしてもルータ側でDNSサーバのアドレス指定が上手くいかない場合に利用して下さい。
尚、下記の事例はDSNサーバのIPアドレスは「192.168.1.222」ではなく、「192.168.1.200」で説明しています。
メモ
Windows7までは接続するWi-Fi毎にプロパティの設定ができましたがWindows8からはこれがなくなり自動設定に変更になりました。
よって外出等で利用するWi-Fiは『DNSの自動取得』、自宅のWi-Fiは『DNSサーバ指定』の様な設定にするとネットワークが切り替わった時にうまく変更できない事が発生します。
そこで現在は外出先のWi-Fiも自宅のWi-Fiも同一設定にしています。
やり方は下記の様に設定します。
上記の設定にすると自宅のWi-Fi接続時は192.168.1.200を使います。
外出時は192.168.1.200はアクセスできないのでGoogleのDNSサーバの8.8.8.8を利用します。
下記はWindows10の場合で記述しています。
①スタートボタンを右クリックしてネットワーク接続を選択します。
現在のネットワーク環境が表示されます。
②画面の中にアダプタのオプションを変更するというメニュがあるのでこれを選択します。
従来から見慣れた下記アイコンが表示されます。
③現在接続しているネットワークを右クリックしてプロパティを呼び出します。
④上図のTCP/IPv4を選択してプロパティボタンを挿入します。
表示された画面のDNSの設定を下記にします。
⑤尚、IPv6のチェックは外してください。
もしIPv6にもチェックを付けたい場合は下記で設定して下さい。
・優先DNSサーバ
コントロールパネル→ネットワーク→ネットワークインターフェイス→LANに表示されているIPv6アドレス
・代替DNSサーバ
2001:4860:4860::8888(GoogleのIPv6DNSサーバ)
以上でローカルからでも外出先からでもドメイン名での接続ができる様になりました。